少し時機に後れてしまいましたが、事業承継税制の改正についてお知らせです。
2017年12月に閣議決定された税制改正の大綱において、2018年度から10年間の特例として抜本的に「事業承継税制」を拡大する方針が定められました。
この「事業承継税制」は、中小企業の株式に関する贈与税・相続税の納税を(一部)猶予し、最終的に免除するもので、中小企業の代替わりを後押しする税制優遇措置です。上手に活用すれば大きなメリットを得られる可能性がありますが、要件が厳しいなどの理由で専門家から敬遠され、広く活用されるには至っていないことがこれまで指摘されていました。
今般の改正は、その要件を緩和すると同時に、納税猶予の範囲も更に拡大することで、我が国の事業承継を更に前進させるものです。たしかに、相続税や贈与税の納税が数千万円から数億円単位で免除になるのであれば、検討する価値は十分にある制度だと思います。
制度や今回の改正に関する詳細な内容はここでは割愛しますが、指摘しておきたい留意点が2つあります。
1つは、今回の「事業承継税制」の拡大措置は期間限定のものとされていることです。具体的には、今後5年以内に事業承継計画を作成し、10年以内に実際に承継を行う者が対象となります。そのため、「事業承継税制」を検討するにあたっては、早期に専門家に相談することが望ましいものと思われます。
もう1つは、この「事業承継税制」の利用に積極的でない専門家も多いということです。その理由の1つとしては、「事業承継税制」が比較的新しい制度であり、慣れている専門家が少ないことなどが挙げられています。事業承継税制の適用後に要件を満たさなくなった場合には、猶予された贈与税・相続税の全額を納付する必要があることから、そもそもその制度利用を躊躇する専門家も多いというのです。そのため、例えば普段相談している専門家が事業承継にあまり詳しくない場合には、事業承継を得意としている別の専門家に相談することも選択肢かもしれません。
当事務所では企業の皆様から事業承継に関するご相談を多数いただいており、税理士との連携なども密に取っています。
また、当事務所の弁護士は、弁護士資格のみならず中小企業診断士資格(経営コンサルティングに関する国家資格)も保有していること、認定支援機関としての登録も行っていることから、事業承継計画作成などに関しても事業者の皆様をサポートすることが可能です。
さらに、事業承継は、税務面に留まらないより多角的な視点(事業自体が本当にうまく継続されるのか、相続などを巡る紛争が発生することがないのか、など)からも検討する必要があります。こうした多角的な検討をお手伝いできることのも、ダブルライセンスを保有している弁護士が所属している当事務所ならではの強みであると考えています。
新潟県内及び近県におかれまして、事業承継でお悩みの方は、是非当事務所までお気軽にご相談ください。