離婚した後に、元配偶者の不貞(不倫)相手に慰謝料を請求できるか、
不貞による慰謝料について最高裁の判決が出ました。
判決の概要をご説明いたします。

(事案の概略)
今回の判決の事案は、妻の不貞(不倫)が発覚してから約4年たって離婚したというものです。
この夫婦は、不貞発覚後、妻が不貞相手と別れ、そのときは離婚しなかったのですが、
結局、約4年後、妻は子どもの大学進学と同時期に家を出て行き、そのまま離婚となりました。

そのため、元夫が元妻の不貞相手だった男性に対して慰謝料を請求したのですが、
最高裁はこの請求を棄却しました。

(判決の意味)
まず、この判決は、不貞相手に対する慰謝料請求全般を否定したものではありません。

判決文にも、不貞相手が「不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合が
あることはともかく」と書いてあり、「不貞行為」についての慰謝料請求を否定してはいません。
それでは最高裁はどうして請求を棄却したのかというと、この件では「不貞行為」ではなく
「離婚そのもの」による慰謝料を請求していたからです。

この件では、慰謝料を請求した時点で既に「不貞行為」から3年以上たっており、
「不貞行為」による慰謝料が時効消滅しています。
そして、今回、「離婚そのもの」による慰謝料が否定されたことで、
結局、この件では不貞相手への慰謝料請求ができなくなりました。

つまり、不貞が発覚したあと、3年以上たってから離婚する場合には、
不貞の相手には慰謝料が請求できないことになると考えられます。
もちろん、不貞した配偶者に対して慰謝料が請求できないことにはなりませんし、
不貞が発覚してから3年以内であれば不貞相手に慰謝料を請求することは
可能と思われます。

ご自身のケースで慰謝料を請求できるのか/請求されたら払わなくてはならないのか、
悩んだときは、ぜひ弁護士にご相談ください。

新潟県弁護士会所属  弁護士 内山 晶